鬱病患者の大学院生

とりとめのない思考の掃き溜め。

運転免許:私は欠格人間か?

運転免許。

私が住んでいるのは田舎なので、大学生の間に取る人がほとんどだ。私もそのつもりだったが、授業や部活、資格の試験等に忙殺されてタイミングを逃していた。そうこうするうちに鬱病になり、当然免許のことなど考える余裕は消え去った。

しかし今年の春頃から、ぼんやりとではあるが、再び免許のことを考えるようになった。運転できないと生活も不便な土地柄だし、研究のためにも免許はほしい。

主治医やカウンセラーにも、その頃に何度か相談した。カウンセラーは、鬱病で気力の萎えた私に免許を取得するという意志が芽生えたことを褒めてくれたし、主治医にも問題ないと言って頂いた。家族の許可も得た。(父は愛車に傷が付かないか心配していたがw)

周囲の反対は特に無かったものの、決断するまでには更に数ヶ月を要した。ちゃんと通えるか不安もあったし、院生活にもまだ慣れておらず、余裕がなかったからだ。


欠格事項。

話しは変わるが、欠格事項という名称は差別的だから法令上は廃止されたらしい。しかし、免許を取る際に適性相談を受けなければならない人がいる。ぼんやりと免許を取ろうかと考え始めた頃に、ネットや教習所の資料で調べた「適性相談が必要な人」の説明は、概ね以下の2種類があった。

  1. 病気を原因として又は原因は明らかではないが、意識を失ったことがある方
  2. 病気を原因として発作的に身体の全部又は一部のけいれん又は麻痺を起こしたことがある方
  3. 十分な睡眠時間を取っているにもかかわらず、日中、活動している最中に眠り込んでしまうことが週3回以上ある方
  4. 病気を理由として、医師から、免許の取得又は運転を控えるよう助言を受けている方

1〜3は、癲癇及びナルコプレシーを主に想定したものだろう。鬱病でこのような症状は普通あり得ない。4は、私の主治医は許可してくれたので問題ないと思われる。

○次に例示するような一定の病気等
・認知症
統合失調症
てんかん
・再発性の失神
・無自覚性の低血糖症
・そううつ病
・重度の眠気の症状を呈する睡眠障害睡眠時無呼吸症候群など)
・その他運転に支障のあるもの。

ここには鬱病は含まれていない。「そううつ病」という記述はあるが、躁鬱病鬱病は全く別個の病気だ。最後の「その他運転に支障があるもの」はやや気になるが、主治医が問題ないと言っているのだから支障はないだろう、というのが私の判断だった。

教習所への道

で、数ヶ月も悩んだ末に、ようやく教習所入所を決心した。しかし、書類を提出した矢先に、思わぬニュースを発見した。

車の運転に支障を及ぼす可能性のあるてんかん統合失調症などの病気の患者が、免許の取得や更新時に病状を虚偽申告した場合の罰則を新設(中略)
 病状の虚偽申告に関する罰則は「1年以下の懲役または30万円以下の罰金」。
病状の虚偽申告に罰則 改正道交法が成立 - MSN産経ニュース

…は?病人は犯罪者扱いかよ!!
有り余る憤りはともかくも、罰金を取られた上に免許を取れないなどということになっては踏んだり蹴ったりなので、もう一度、今度は法令原文をしっかりと調べた。
道交法と関連する政令は一通り読み込んだが、冗長に過ぎるため、ここではごく一部のみ引用する。

3  法第九十条第一項第一号 ハの政令で定める病気は、次に掲げるとおりとする。
一  そううつ病(そう病及びうつ病を含み、自動車等の安全な運転に必要な認知、予測、判断又は操作のいずれかに係る能力を欠くこととなるおそれがある症状を呈しないものを除く。)
道路交通法施行令

「そううつ病(そう病及びうつ病を含み(以下略)」…躁鬱も躁も鬱も全く別々の病気だ。躁鬱病鬱病あるいは躁病に似た症状が出るが、だからといって鬱病と躁病を躁鬱病という言葉で括るなど、聞いたことがない。ついでに言えば、今は躁鬱病ではなく双極性障害と呼ぶのが一般的だ。
この法令を作成した人間の無知さに呆れるしかないが、残念ながら成立してしまった法律には従うしかない。

とりあえず、教習所入所は一旦保留にするしかなくなった。適性相談をしなければならないが、いきなり警察に行って病気というプライバシーを握られるのはリスクが高過ぎる。先に主治医にもう一度相談し、必要ならば運転可能という診断書を出してもらえることを確認したほうがいいだろう。適性相談はそれからだ。

そんなわけで、教習所への道のりはまだまだ遠い。